僕の前に道はない。

なまけてたっていいじゃない。

ただの戯言である。

高校野球の思い出

 

夏の風物詩、高校野球

かつて球児だった僕は家の中でアブラゼミツクツクボウシの声を聞きながら中継を見る。

甲子園中継を横目に家事や記事執筆をするのが夏の楽しみである。

 

 

高校3年生の夏、僕はベンチ入り出来なかった。

それまでの公式試合ではずっとベンチ入りしていたのに、最後の夏は叶わなかった。

怪我をしたわけでもない。

真面目に練習してきたのに、その夏、背番号を獲得したのは僕をイジり倒す奴だった。

 

僕はおとなしく自己主張のしない高校生だった。

「うえーい」とケラケラ笑いながら学校生活や部活を行っている奴らが苦手だった。

そういう奴らが幅を利かせている中、僕は一人で黙々と素振りを行っていた。

「基本」を大事にしようという信念だった。

基本的に一人だった僕は、自主練でティーバッティングやノックはあまり行わなかった。

 

結局実力が足りなかったのだ。

実力さえあればどんな奴も認めさせられる。

それが足りなかっただけなのだ。

 

最後の夏、主将は地方大会の組み合わせ抽選クジで甲子園常連校との対戦を1回戦に引き当ててきた。

僕はアルプススタンドで応援した。

グラウンドに立てなかったことを悔しく思った。

親にも「観に来て」と言えなかった。

そして1回戦で敗退した。

 

試合終了のサイレンが鳴り響く中、僕は泣き崩れた。

僕をいじり倒す奴らのことは苦手だったけど、それでも2年半、ずっと一緒に野球をやってきた奴らだったのだ。

彼らと一緒にもう野球ができなくなったのだと思うと涙が溢れ出してきたのだ。

僕はアルプススタンドでただただ泣いた。

 

 

あれから15年。

高校野球を見ない夏はない。

試合終了で泣く姿を見ると、あの時の僕と同じような気持ちでいたりするのかなぁなんて思い馳せる。

 

一桁の背番号に憧れた。

単なるゼッケンだとも取れるが、やはり当事者らには特別な意味を持つ。

 

昔『H2』というマンガで主人公の女房役が最後の夏、甲子園大会が始まる前にこんなことを言っていた。

 

楽しくやろうぜ ただのボールゲームだ

 

そう、ただのボールゲームである。

そしてタイムアウトのない試合のおもしろさがある。

そこには関わる人の数だけドラマがある。

 

貧乏ながらも用具を買い揃えてくれたり、お弁当や洗濯も文句一つ言わずにやってくれた母親には感謝しかない。

 

 

H2 (30) (少年サンデーコミックス)

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